契約書への収入印紙の貼付

契約書を書面で締結する場合、その内容や契約書で定めた金額により、収入印紙を貼付する必要がある場合があります。

収入印紙はどのような契約書に貼らなければならないのか、どこで買えるのかなどについて書いていきたいと思います。

収入印紙とは?

収入印紙とは、租税や手数料などの徴収のために政府が発行する証票です。
契約書だけでなく、領収書や登記申請書類、登記事項証明書交付申請書などにも必要になる場合があります。

収入印紙の貼付が必要な契約書とは?

収入印紙の貼付が必要な契約書は、印紙税法に定められている課税文書に該当する場合です。課税文書は種類ごとに1号文書~20号文書に分類され、それぞれに適用される印紙税額が定められています。1号文書~20号文書に該当しない場合は非課税文書となりますので収入印紙の貼付は不要です。

◆印紙税額の一覧は国税庁のホームページから確認できます。
 貼付の都度、最新版の一覧表で印紙税額を確認するようにしてくださいね。
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁 (nta.go.jp)
No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁 (nta.go.jp)

一般的な事業においてよく締結するであろう契約書を以下にピックアップして記載します。

【1号文書】
・金銭消費貸借契約書
・運送契約書
などが挙げられます。

【2号文書】
・請負に関する契約書
 (契約書のタイトルがどのようなものであれ、「請負に関する契約書」であれば課税文書になります。一般的に、「業務委託契約書」というタイトルで作成された契約書には、「請負契約書」と「準委任契約書」があります。契約の性質が「請負」であれば課税文書になりますし、「準委任」であれば非課税文書となります)
・広告契約書
などが挙げられます。

【7号文書】
継続的取引の基本となる契約書
・業務委託基本契約書
・売買基本契約書
などが挙げられます。

◆印紙税の詳しい解説は国税庁の「印紙税の手引」もご覧ください。
印紙税の手引|国税庁 (nta.go.jp)

作成した契約書が課税文書に該当するか分からないときは、国税庁(税務署)に聞いてみると安心です。電話でも相談できますし、たくさんある場合や契約書の内容が複雑な場合など口頭で説明することが難しいときは、事前に予約したうえ、税務署を訪問して契約書を確認していただきながら相談することも検討してみても良いかもしれません。

収入印紙の貼付をしていなかったらどうなる?

  1. 契約書の有効性について
    課税文書に該当する契約書に収入印紙の貼付がなされていなくても、契約書としては有効です。

  2. 過怠税
    印紙税法第20条第1項には以下のように定められています。つまり、収入印紙の貼付を忘れると印紙税額の3倍の過怠税が課せられます

    【印紙税法第20条第1項】

    第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同項の規定により納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。

     

    ただし、第20条2項には一定の条件のもと所轄税務署長に申し出た場合には、過怠税がその納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額との合計額(つまり印紙税額の1.1倍)となることも定められています。

    【印紙税法第20条第2項】

    前項に規定する課税文書の作成者から当該課税文書に係る印紙税の納税地の所轄税務署長に対し、政令で定めるところにより、当該課税文書について印紙税を納付していない旨の申出があり、かつ、その申出が印紙税についての調査があつたことにより当該申出に係る課税文書について国税通則法第三十二条第一項(賦課決定)の規定による前項の過怠税についての決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該課税文書に係る同項の過怠税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付しなかつた印紙税の額と当該印紙税の額に百分の十の割合を乗じて計算した金額との合計額に相当する金額とする。

 

今まで印紙税について意識せず契約書を作成していた、という場合は見直してみてくださいね。

消印

  1. 消印とは
    契約書に収入印紙を貼付した場合、収入印紙と契約書にまたがるようにして押印をする必要があります。この印のことを「消印」といいます。

  2. なぜ消印を押すの?
    収入印紙の再利用を防ぐために消印を押します。

  3. どの印鑑で消印を押さなければならないの?署名でも可?
    消印は、「文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名」である必要があります(印紙税法施行令第5条)。

    上記2.のとおり再利用を防ぐためのものですので、必ずしも契約書の記名押印欄に押印された印鑑と同一である必要もなく、印鑑でなく署名でも良いことになります。署名は鉛筆など消せるものは不可です。

    なお、実務上、契約当事者双方の印で消印を押したいという会社もありますし、相手方の印で消印されたものを自社で保管したいという会社もあります。印紙税法上は上記のとおり消印されていれば問題ありませんが、契約相手によっては臨機応変に対応する必要があるかもしれません。

収入印紙はどこで買える?

郵便局やコンビニ、金券ショップなどで購入できます。

郵便局が一般的な購入場所ですが、郵便局でも、200円や4000円など、よく使われている金額の収入印紙であれば在庫がないということはあまりないと思いますが、大量購入する場合や大きい金額のものなど一般的に頻繁には使用されない金額の収入印紙を購入する場合は、在庫がない場合も考えられますので事前に問い合わせてみると安心です。

また、コンビニや金券ショップなどでは購入できる金額が限られる場合がありますので注意が必要です。

まとめ

収入印紙は課税文書を作成した場合に印紙税を納付したことの証となるものです。契約書の内容や金額を精査して、収入印紙の貼付漏れのないよう対応しましょう。

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