契約書はなぜ必要?

何らかの取引をする場合、契約書を締結したり、同意書の提出を求められることも多いと思います。

契約書は、法律で書面での締結を義務付けられている内容の取引を除き、書面で締結しなければ成立しないものではありません。原則として口頭での合意でも成立します。

例えば、「この商品をください。」、「はい、分かりました。」という口頭での意思表示で契約は成立しているのです。

では、なぜ書面(電子契約を含みます)で締結することが望ましいのでしょうか。

例えば、以下などの理由が挙げられます。

  1. トラブルを未然に防ぐため
    当事者双方の責任範囲や後から生じた問題への対応などを明確にしておくことにより紛争への発展を防止するために締結します。

  2. 円滑な取引のため
    業務内容、支払方法、当事者双方の権利義務などを明確にしておくことにより、スムーズな取引ができます。

  3. 税務面の対応のため
    お金の授受があったときに、それが贈与なのか、金銭消費貸借なのか、など、税務上の疑義が生じないために締結しておくこともあります。


1つずつ見ていきましょう。

1. トラブルを未然に防ぐため

トラブルを未然に防ぐためには、どのような条項を定めれば良いでしょうか。

例えば、以下の条項などが考えられます。

  ☑ 損害賠償の範囲の制限や金額の上限
  ☑ 商品に問題があった場合にいつまでに通知しなければならないのか
  ☑ 商品に問題があった場合にどのような対応をするのか、またその対応方法の順番や期限
    (返品、交換、修補etc)

2. 円滑な取引のため

円滑な取引のためには、どのような条項を定めれば良いでしょうか。

例えば、以下の条項などが考えられます。

 ☑ 業務内容:何が業務範囲なのか
   ⇒業務範囲が不明瞭であると、委託者としては含まれていると思っていた業務が、
    受託者としては業務範囲外であったなどの疑義が生じてしまう可能性があります。
 ☑ 納期:商品や成果物をいつまでに納品するのか
 ☑ 支払方法:いつ分をいつまでに支払うのか、手数料はどちらが負担するのか
 ☑ 金額:金額や金額の計算方法の明記
 ☑ 成果物の著作権はどちらに帰属するのか
 ☑ 所有権の移転時期

3. 税務面の対応のため

特に親子など親族間の取引においては、書面で契約書の締結までしなくても良いのではないかと考えがちですが、お金を借りただけなのに贈与と判断され、贈与税を支払わなければならないということを避けるためにも、そのお金の授受がどのような契約に基づくものなのか、きちんとした証拠として税務署対応ができるようにしておくと安心です。

まとめ

契約書を締結するというのは手間がかかるし、そこまで大げさにしなくても良いのではないか、と考えがちです。でも、契約書は万が一のために締結するものです。トラブルが生じた場合に根拠をもって自分の権利を主張できるようにしておくと良いのではないでしょうか。




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